地域と交流 裾野広げる
公益財団法人・兵庫県障害者スポーツ協会からこのほど、功労賞を受けた。これまでに選手として2度、全国障害者スポーツ大会に出場。公認障害者スポーツ指導者資格中級も取得した。丹波市の障がい者スポーツサークル「ふれあい」の代表を務め、交流大会や講演会を企画したほか、パラリンピック正式種目「ボッチャ」の県協会理事に就任。障がい者スポーツの裾野を広げている。
建築土木業に従事していた37歳のとき、作業中の屋根から落下。脳挫傷による重体となり、生死をさまよった末に両足、右手、目に障がいが残った。
自立生活訓練センター(神戸市)に入所したものの運動には無関心だった。先輩や仲間から「今できることにチャレンジしよう」と叱咤激励されるうちに心が動かされた。「それまで自分は治るものだと思い込んでいた。『現状の機能を維持することが大切』といろんな人から言われ、自分の中で区切りがついたんでしょうね」と振り返る。
2002年から全国大会に向けた練習を始め、06年の「兵庫のじぎく大会」で車いすの100メートル走とソフトボール投げで上位入賞。08年の「チャレンジ!おおいた大会」では新種目、ジャベリックスローで優勝。「1年だけの日本記録保持者。翌年にはすぐに記録が破られた」と笑う。
指導者の資格を取ったことで、いろんなことを吸収し、伝えたいという意識が高まったという。「障がいのあるスポーツ選手、指導者などとの出会いのおかげで、表彰をいただけた。感謝の気持ちでいっぱい。みんながやりたいと思うスポーツを、いろんな地域の人と交流しながら広めていきたい」59歳。