篠山市今田町に陶人形のギャラリー「虚空蔵」がオープンする。型をとって作る他の陶器製の人形と違い、ひとつずつ手作りした作品が並ぶのが大きな特徴で、仏像が多いのも魅力の一つ。 「陶人形師」の峰十三さんの手によるものだが、作る過程で粘土の中に空気が入ってしまうと、それが窯の中で膨張して破裂してしまうため、10体作って5、6体が壊れてしまうこともある。手間がかかるし大量に作れないので、ほかの作家はあまり作らないという。 ではなぜ作り続けているのか。峰さんは自分の作品を見ながら「年齢とともに死を意識したから」と答えた。 自分の晩年を思うようになり、心穏やかに清く正しくすごしたい、と思われたそうだ。また、そのことを他人にも感じてほしいと、仏像を手作りしている。仏像とは「もう1人の自分」だそうで、自分を仏像におきかえることで、慢心などをいさめている。その日の気分によって「峰さんの仏像の顔が違って見える」という人もいる。心のありようが作品に表れる。取材抜きに訪れて、静かに対面したいとふと思った。(西澤健太郎)