従来の「くれくれ」型でなく、「住民が一歩医療者側に歩みよる」運動の発祥地として、丹波地域は、全国の医療関係者から、大きな注目を集めている。 取材で伺った神戸大学医学部小児科教授の松尾雅文氏に、「県立柏原病院の小児科を守る会」を評価し、「全国の病院で働く小児科医の労働環境は大きく改善される。この運動、考えを全国に広めなければならない」と力を込められた。「診てもらって当然」「病院にかかっているんだから、治って当然」という、患者側の「当然」は、実は当たり前ではなく、医療者側の献身的な努力によって保たれている。病院勤務医の絶対数が足りないのなら、患者側が受診回数を減らすよう努めるのは、疲弊した医師の逃散を防ぎ、医療を継続する上で、ベストではないかもしれないが、現実的な対応ではないだろうか。 「コンビニ受診を控えよう」という「守る会」のスローガンの実践は、小児科のみならず、他科の医師の労働環境改善にも寄与できる。我々がスローガンを実践することで、「医療を守る丹波モデル」が確立され、全国のモデルになりうる。このことを肝に銘じ、適切に受診したい。 (足立智和)