分娩の取り扱いを中止する病院が増え、助産所の活用が言われている。先日、丹波市で開かれた医療関係者の座談会でも、話題にのぼった。「病院と助産所は、めざしている所が違う」という意見に得心がいった。病院は「何が起こっても安全に出産できるように」が眼目で、助産所は「自然に近い、快適なお産」をめざしている、と。 「助産所は、病院と比べ、セーフティーネットがある程度薄くなるのは仕方がない。それが知らされていないのが問題。長所、短所を知った上で、判断、選択をしてほしい」と産婦人科医は訴えた。 お産ができる病院が減った理由は、産婦人科医が「分娩を取り扱えない状況に追い込まれた」ことによる。医師が「過誤」でなく、「医療の不確実性の結果」と捉える事象が、結果が悪ければ「過誤の疑いがある」とされ、逮捕や訴訟が相次いだ。 助産所の活用より、産婦人科医を増やすこと、今働いている医師が分娩を続けられ、止めた医師が再び取り扱える体制整備を考えることの方がよほど大切だろう。救急でも同じ現象が起こっている。追い込んでいるのは誰か、よくよく考えたい。(足立智和)