医療は公共財産

2008.01.31
未―コラム記者ノート

 「病院は、『地域の公共の財産』ということに気づいた住民が、小さいながらもリアルな動きとして、活動している。公共財をみんなで守ろうというこの運動は、医療問題にとどまらず、この国の文化を変える」。舛添要一厚生労働大臣に、県立柏原病院の小児科を守る会のホームページを紹介し、大臣から同会へメールが届くきっかけを作った、東大准教授の言葉だ。 「コンビニ感覚で病院を受診せず、医師の疲弊を防ぐことで、本当に必要な人が医療を受けられるようにしよう」という会の考えは、まさに、「公共財」を守ろうという発想だ。この公共財は限られており、国のトンデモ施策と、患者の権利が強調される世論にあって、猛烈な速さで枯渇に向かって進んでいる。国をあげ、「がんばった医師がバカをみる」世の中を作った。医師という「人間が公共財」という発想も、医師という公共財を支え守るのは、受診する側という発想もなかった。財産をなくして困るのは、自分であり、地域だということも。 患者に節度を求める「守る会」の運動は、世論に一石を投じた。異質だが、まっとうだったから、大臣の目にもとまったと考える。(足立智和)

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