作者の思い

2008.03.03
未―コラム記者ノート

 「柏原の厄神さんが終われば、春が来る」とよく言われる。暖かい陽気が数日続いたと思ったら、まさかの大雪。ジンクス通りにいかないのも面白い。さて、柏原厄除け大祭の話に戻るが、いろいろな作品展に努力の跡が見られ、しばし足を止めた。 丹波彫刻会作品展の会場では、北川敏彦さんに「面一本」という作品の説明を受けた。剣道の胴着を身につけた少年剣士が剣を振りかざしている木彫。「構想を練るために、近くの柏原高校に3回足を運んで、練習風景を見せていただきました」という。 下方武さんの陶芸「丹波竜」の色は、迫力があった。「釉(ゆう)薬が薄かったのか、焼いた時の火加減もあって、不思議な色が出ました」という。焦げ目色とでもいおうか、ひび割れた土に独特の色を帯びた、まさしく恐竜色になった。「こんな色は考えても出せない」と下方さん。いつもは、出ない色が突如として出る、これも創作の魅力なのかもしれない。 作品をただ見るだけでなく、作者の声を聞けるのも展覧会の楽しみを増す。そんな機会を持てた有意義なひと時だった。(臼井 学)

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