わずか6ミリの歯から

2008.08.07
未―コラム記者ノート

 大山小学校6年生の手によって発見された獣脚類の歯の化石。ぬるりと黒光りする歯の縁には肉食恐竜の証「鋸歯(きょし)」が見て取れた。このノコギリ状の歯で、獲物をかみちぎっていたのだろう。わずか6ミリの歯の背後に1億4000万年前の弱肉強食の世界が展開する。 大型草食恐竜「丹波竜」の発見者であり、大山小児童と一緒に化石発掘体験を行った足立洌さんは「専門家ではない子どもでも、化石を見つけることができる。今後も篠山市内で発見されることが予想される」と話していた。 今回見つかった恐竜は体長が1―2メートルと思われる種類のものだが、篠山層群が広範囲に広がる篠山市内では今後、さまざまな恐竜化石が発見されるに違いない。そんな期待を持たせる6ミリの歯だった。 約2億年前に出現し、その後1億3500万年もの間、地球上の覇者として君臨した恐竜。これまでに世界中で、550種が命名されているが、まだ見つかっていない種は1000種以上といわれている。 わずか6ミリの小さな歯。それは1億4000万年前もの太古の世界の扉を開く大きな鍵となった。  (太治庄三)

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