「宮沢賢治の美味しい世界」。一風変わったタイトルに惹かれながら、ささやま図書館友の会主催の講演会を聞きに行った。チラシのイラストは山猫と紳士のデザイン。「注文の多い料理店」だ。 講師は童話創作をしている中野由貴さん。作品に出てくる「おいしいもの」を探して作るのをライフワークにしているのだそう。賢治の童話に出てくる食べ物は「ハイカラ」という特徴があると聞いたのは意外な気がした。 農家の休憩時間をさす「小昼(こびる)」タイムもあり、賢治のふるさと岩手県の蒸しパン「がんづき」をおいしくいただいた。賢治が詩人の草野心平さんに教えたという「電気葡萄酒」のレシピがユニークだったので紹介します。焼酎をベースに、黒豆の煮汁、砂糖、ハチミツ、クエン酸、ブドウフレーバー(ブドウのリキュールやブドウ味のキャンディを水で溶かしたものでも可)を混ぜてでき上がり。 黒豆とクエン酸は化学反応で赤色になる。きっと本物のワインみたいだろう。ちなみに「電気」を付けるのは当時の流行だったそうだ。黒豆の季節にぜひ作ってみよう。 (徳舛 純)