「私たちの、みんなの医療」

2008.12.01
未―コラム記者ノート

 県立柏原病院の小児科を守る会の丹生裕子代表が東京で「新しい医療のかたち賞」を受けたのと同じ日、鳥取で開かれた「地域医療を考える県民フォーラム」にパネリストとして出席した。藤井喜臣副知事、岡本公男県医師会長、能勢隆之鳥取大学学長の4人でのパネルディスカッションで、鳥取市内の脳神経外科勤務医を例に話をした。「市民20万人の脳疾患を守っている医師はわずか5、6人。みなさんが思っているほど、セーフティーネットの網の目は細かくない。医療は、とても薄い膜。ちょっとしたことで破れる。どうやって守るか考えて」。 コーディネーターの梶井英治自治医科大学地域医療学センター長は、医療需要と提供体制にアンバランスがあり、「日本で提供できる量以上の需要が出ている」と説明。過大な需要は医師の「志」によって支えられてきたが、もはや限界で、「志や善意に頼らない体制づくりを」と訴えた。 梶井氏は、これからの地域医療を、こんな風にとらえてはと提案した。「私たちの医療、みんなの医療」―。守る会がまいた種が、またひとつ広がったと感じた。(足立智和)

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