県養成医の退職に思う

2008.12.15
未―コラム記者ノート

 県が公立浜坂病院(新温泉町)から医師1人を引きあげるそうだ。但馬の事情に詳しい人によると、公立豊岡病院に籍を置く県養成医が1人退職するのに伴う玉突き人事で、浜坂病院の医師は公立村岡病院(香美町)に移り、村岡病院の医師が豊岡病院に移る流れのようだ。 但馬の「中核」豊岡病院の弱体化は、19万人が暮らす但馬の医療低下に直結する。わずか5人の現体制から1人減らされるのは、住民、そして負担が増える残った勤務医には、「まさか」の行いだろうが、医師を増やせない県にできるのは、集約ぐらいだ。 学費の代償に9年の義務年限を負う県養成医は、16人。県は、全員を但馬、豊岡病院組合に集中させている。そのうちの1人に義務年限途中で去られてしまう。なぜ去られたのか、勤務内容や待遇など、総点検すべきだ。従来の「養成医を金や恩で縛る」やり方は、通用しにくくなっている。学費は、腕を高く買ってくれる病院で勤務すれば、簡単に返済できる。留まってもらう努力、仕掛けが必要なのだ。 養成医だけでない。600人を超える県立病院の勤務医に対しても同じだ。(足立智和)

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