自宅裏山に広がる森を「タジゾーの森」という。「タジゾー」とは、私の名前を縮めて呼んだもの。10年前から、ひとりで休日を利用しながら、こつこつと下草刈りなどを行い、手入れしてきた約1万平方メートルの森。数年前からは、数人の友人たちも手伝ってくれるようになり、うっそうとした竹や笹、常緑樹の生い茂った藪のような森が、徐々に明るくなってきた。 手入れするにあたり、まずどの木を残すのかということを検討。「生態系に配慮した森づくり」なんて難しいことは一切考えず、好きな木を残そうということにした。この木は▽虫がよく集まるから▽きれいな花が咲く▽実が食べられる▽樹形がおもしろい―、だから残そう。「杉や桧には花粉症でひどい目に遭っているから切ってしまえ」など、ECOならぬエコひいきで手入れを進めてきた。 それでもこの春、森では、これまで見かけなかった野ウサギが姿を現し、林床には、日の光を待ちわびていたシュンランなどの野草が花を咲かせた。そして今宵も森の奥から「フォフォフォ…」と、繁殖期に入ったフクロウの声がこだましている。(太治庄三)