インフル流行調査考

2009.11.26
未―コラム記者ノート

 インフルエンザの流行度合いをはかる指標に使われている県感染症情報センターの感染症発生動向調査(県内199カ所の内科、小児科での定点観測)に興味深い数字を見つけた。最新データ(11月9―15日分の集計)では、定点あたりの平均患者数31・93人に対し、丹波地域は7・33人と際立って少ない。定点あたり30人以上が「警報」、10人以上が「注意報」。県内で丹波地域だけが、「注意報」に未到達。山間部だからでも、流行していない訳でももちろんない。 調査が実態を反映しない理由をこう分析したい。「かかりつけ医へ」の意識を持ち行動する住民がいて、通常より増えた患者を献身的に診察する開業医がいるから、と。定点は丹波地域に6つ。多くが病院だ。開業医で診断されても数字に現れない。 他地域では病院に患者が殺到し、病院機能が麻ひしたというようなニュースも聞く。丹波地域の住民と開業医の地域医療を守るための努力が、調査によって可視化されたように思う。ただ、それは本来の調査目的ではない。実際の流行度合いをはかるため、定点を変えるなど、考える余地は多分にある。 (足立智和)

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