防災の回路を

2010.07.05
未―コラム記者ノート

 屋根に叩きつける大粒の雨。排水路からは水が溢れ出す。真っ黒な生き物のように木々がうごめく。実家の裏には、手が届きそうなほど山が迫る。幼いころは、大雨が降るたび、「いつ崩れるか」と震え上がっていたことを思い出す。 昨年8月、丹波地域を記録的な豪雨が襲い、柏原町では、一部地域で腰まで水に浸かった。今年4月には、山南町で国道脇のがけが崩落、つい先日には、篠山市後川奥でもがけ崩れが発生した。 発生するたびに驚いていたが、よくよく考えれば、雨が降れば、災害が発生する可能性が高くなるのは当然だ。問題は、「雨=災害」と考える頭の回路ができていないことだと思った。 行政の防災担当者は、「危険を感じたらすぐに避難すること」とよく言われる。が、実際に起これば、なかなか行動できないのが実情ではないだろうか。そのためにも、普段から災害の可能性や防災・減災を考える脳内回路を訓練しておかなければならない。 などと言いながら、実家の家族は今日も震えているはず。次に帰省したら、「もしもの時」の対策を話し合ってみます。      (森田靖久)

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