1週間ほど前の深夜、自宅裏の森に「ギャーギャーッ、ゴッゴォーッ」となんとも不気味な絶叫が響き渡った。そのあまりの気味の悪さと大音量に、飼い犬たちも驚いて吠えだす始末。ネコかタヌキがケンカでもしているのか?とも思ったが、その声の主は樹上からのものだった。それでぴんときた。フクロウの子別れの儀式だ―。 声の主はメスのフクロウ。我が子を追い出すときに発する怒声なのだ。この時期、親は次の繁殖に備えて食いだめをしなくてはならず、子どもも冬を乗り切るために食いだめる。よって親子で同じ餌場を奪い合うことに。そうなると、我が子とはいえ、その存在が邪魔になってくるのだ。 しかし自然とはうまくしたもので、この子別れの季節は、植物が多くの種子を実らせる秋。その種子を餌とする野ネズミが活発に動き回る時期でもある。フクロウはこの捕らえやすくなった野ネズミを一晩に20匹近くも食べるとされ、こんな大食いが11月半ばまで続くという。4月に誕生したヒナは、9月下旬で早くも親と別れて独り立ち。野生の厳しさを考えさせられた深夜の出来事だった。(太治庄三)