5秒、5センチの差

2010.12.04
未―コラム記者ノート

 県立柏原病院で2日に開かれた、新しい心肺蘇生ガイドラインの講座。講師の大阪医大准教授に消防隊員が「少なくとも5センチ胸骨圧迫をと言われたが、市民向け講習会で、女性には力一杯押してと指導して良いか」と質問した。5センチより浅いより深い方が良く、答えは「良い」となった。ただし、押した腕を一回一回元の位置に戻す、1分間に少なくとも100回のペースを守る―の2つの条件が付いた。 以前からの疑問「なぜ、もともと心停止しているのに、胸骨圧迫中に手を止めてはいけないのか」が解けた。一旦始めた胸骨圧迫を休むと、心臓がパンパンに膨れた状態になるそう。伸びたバネが元に戻らないのと同じで、圧迫しても循環がうまくいかなくなるのだそうだ。 圧迫すると、骨を折る怖さがあるが、「折れた骨が心臓に刺さった話を聞いたことがない。骨が折れても圧迫を続けることが大切」と言われた。 電気ショック前の胸骨圧迫休止時間を5秒減らすと、救命率が1・86倍高くなるとのデータも示された。一刻一秒ではないが、「5秒の差、5センチの差」が人の生死を分かつことを実感した。(足立智和)

関連記事