県立柏原病院の小児科を守る会代表の丹生裕子さんが、文科省の「今後の医学部入学定員のあり方等に関する検討会」の委員に選ばれた。2年前の厚労省の委員に次いで、2度目の「国民代表」。専門家ぞろいの委員会にあって、唯一の「素人」だ。 医学部定員の問題は、非常に厄介だ。労働基準法違反が常態化している勤務医数を増やし、不足を補わなければならないという意見の一方で、医療を受けるハードルを高くして患者を絞ったり、雑用を医師以外がしたり、看護師の医療行為の領域を広げれば、医師数はそう増やさなくても良いという論もある。人口問題とも、社会保障費の問題ともリンクする。どこまで増やすのかの見極めが、専門家の中でも意見が割れている。「都市部への偏在が問題で、数自体は今でも不足していない」と、信じ難いことを言う人さえいる。 どういう視点で委員を務めるのかたずねたところ、「これから子どもがお医者さんになる、という母親の視点で」と答えが返ってきた。「わが子がお医者さんになることはまずないと思うんですけど」との注釈付きで。(足立智和)