2月18日午前零時にあった、柏原厄除大祭の「青山祭壇の儀」を取材した。「神様が降りてくる瞬間です」と、事前に神社の千種太陽禰宜(ねぎ)から聞いていた。どんな行事かと、想像しながら参道を上り、開始20分前には祭壇近くに到着した。近くのたき火は消され、雪がしんしんと降って寒い。
開始前に祭壇の火が消えるアクシデントがあったが、昭和から儀式を行っている千種正裕宮司は手慣れた様子で、祭壇の灯籠の火で点けなおした。「想定内か」と、宮司の年季を感じていると、まるで儀式に合わせたように、さっきまでの雪や風が止んでいることに気づいた。昼間のにぎやかさとは対照的な、静寂に包まれた境内に、何か神秘的なものを感じた。
儀式が始まると、祭壇の火を残し、境内の明かりが一斉に消された。本殿で祝詞をあげた神官らが、祭壇へ千種宮司1人を誘導する。宮司は「やくじんさん」をもてなし、しゃん、しゃんと幣(ぬき)を左右に振るい、儀式は滞りなく終わった。
昼と夜で、印象が打って変わる大祭は初めて見た。来年も寒さに耐えて取材せねば。(河本達也)