大学時代はフォークソングサークルに属した私。先日、ふと懐かしくなって、「アリス」の「冬の稲妻」を聞いた。
―あなたは稲妻のように 私の心を引き裂いた―
まったく名曲。孝雄と新司の絶妙のハモリ、透のドラムも軽快だ。フフフンと口ずさんでいると、今になってやたら気になることが顔を出した。
―You’reRollin’Thunder―。問題はこの後。
―ほぁぁぁ―
なぜこの言葉、いや、吐息のようなものが。しかし、良い。なんなんですか。
もんもんとトイレで読書をしていると、疑問に答えうる一文があった。それはフランスの詩人、ポワローのもの。
「そのあるべき場所に置かれた言葉の力強さ」
一瞬で開眼した。あの吐息は、あの場所で使われてこそ価値があるのだ。
私の仕事は文字を扱うこと。淡々と文字を連ねることは簡単だが、「あるべき場所にある言葉」。これこそ感動を与える触媒なのでは。それを巧みに操ってこそプロなのでは。
あらためて自分の仕事を見つめ直させてくれたアリスとポワロー、4人に感謝。言い過ぎか?(森田靖久)