とある仲良しの方が「盆栽の大家」と呼ばれていると聞き、かわいげもなくおねだりしてみると、「これもあげる、それもあげる」と立派な盆栽を頂いた。心の中で、「師匠」と呼ぶことに決めた。
ヤマモミジにイワシデ―。鉢の中にチョンっとたたずむ姿は、小さくても確かに木。木陰から小人がひょこっと顔を出しそうだ。いろんな情景が脳裏に浮かんできて、しばらく飽きずに眺めていた。
「これで十数年くらい育てている」と聞いた時はたまげた。小さな木にそれだけの時間が刻まれているということもそうだが、数十年も木と付き合い続けてきた師匠にだ。
盆栽に関心を持ったのは理由がある。近年、海外で盆栽がブームらしい。出荷額は日本全体で50億円を超えるそう。そう、「もしかすると高値で売れるのでは」というよこしまな考えが発端なのです。
しかし、実際に盆栽を頂き、師匠の思いを聞くと、果たして数十年後に手放すことができるか怪しくなってきた。愛着がわいてしまいそうで。
とにかく、全くの素人。今は水やりに励み、枯らさないことが目標です。(森田靖久)