篠山から名人誕生

2013.01.10
未―コラム記者ノート

 篠山市乾新町出身の岸田諭さんが、滋賀県大津市の近江神宮で開かれた競技かるたの日本一を決める「名人位決定戦」で勝利し、名人位の称号を手にした。表彰式や閉会式で、岸田さんや篠山の名が飛び交うたびに、「篠山から本当に名人が誕生したんだ」と実感。うれしさがこみ上げてきて、頭の芯がビリリッとしびれた。
 取材は、実況解説付きのモニタールームでゆったりと観戦しながらでもできたが、「せめて1回戦だけでも試合の臨場感を味わおう」と緊迫した競技会場に入った。静かに試合の幕が上がり、90分に及ぶ真剣勝負が始まった。すごい緊張感で、観戦しているこちらが参ってしまいそうになる。読手が上の句の1、2音を発したその瞬間、目にも留まらぬ速さで畳の上に並べられた取札を勢いよく手で払い飛ばす両者。そのあまりの迫力に“畳の上の格闘技”と例えられる意味が理解できた。
 延べ4時間半にもおよんだ戦いの全幕を固唾を呑んで見守っていたため、精神的にくたくたになってしまったが、岸田さんの勝利のおかげで、その疲労感がやたらと心地よかった。(太治庄三)
 

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