小学2年生の甥を連れて、大阪へ出かけた。新三田駅から電車に揺られての男2人旅。きょろきょろとあたりを見渡し、落ち着きのない姿をほほえましく眺めていた。
しばらくして、甥が一言。
「携帯電話出したほうがいいやんなぁ?」
「なんでや」と私。
「そのほうが大人みたいやろ」
ハッとして車内を見渡すと、ほとんどの大人が、猫背になって画面に指をシュッシュと滑らせていた。
電車で携帯電話をいじることが、「大人」と見ている甥。納得しながらも、素直に「せやな」とは返せず、車窓に映る何の変哲もない景色の話題でお茶を濁した。
改めて思う。子どもはこんなにも大人を見ていると。
「最近の子どもは」という枕詞がついて、「マナーが悪い」「コミュニケーションができない」とよく言ってしまう。
でも、子どもは大人の鏡だ。悪いのは大人だ、と言い切っていいかもしれないと思った。
当たり前のことだけれど、そんな事実に気づかせてくれた甥よ。大人もまだまだ。がんばります。(森田靖久)