甥の一言

2014.10.02
未―コラム記者ノート

 小学2年生の甥を連れて、大阪へ出かけた。新三田駅から電車に揺られての男2人旅。きょろきょろとあたりを見渡し、落ち着きのない姿をほほえましく眺めていた。
 しばらくして、甥が一言。
 「携帯電話出したほうがいいやんなぁ?」
 「なんでや」と私。
 「そのほうが大人みたいやろ」
 ハッとして車内を見渡すと、ほとんどの大人が、猫背になって画面に指をシュッシュと滑らせていた。
 電車で携帯電話をいじることが、「大人」と見ている甥。納得しながらも、素直に「せやな」とは返せず、車窓に映る何の変哲もない景色の話題でお茶を濁した。
 改めて思う。子どもはこんなにも大人を見ていると。
 「最近の子どもは」という枕詞がついて、「マナーが悪い」「コミュニケーションができない」とよく言ってしまう。
 でも、子どもは大人の鏡だ。悪いのは大人だ、と言い切っていいかもしれないと思った。
 当たり前のことだけれど、そんな事実に気づかせてくれた甥よ。大人もまだまだ。がんばります。(森田靖久)
 

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