1枚の写真から

2015.07.18
未―コラム記者ノート

 手元に1枚の写真がある。60歳代と思われる、40人ほどの女性が並んだ1枚。どの女性も穏やかな表情で写っており、9年前に亡くなった祖母の姿もある。写真の枠には「挺身隊同友会」との文字が印刷されている。撮影日は昭和57年とあるから、戦後37年経って集まった際に撮った写真だろう。
 調べてみると女子挺身隊は、太平洋戦争下の日本で組織された勤労動員団体の一つで、主に未婚女性で構成。戦況の悪化や徴兵で働き手が減った状況に対応するため、国が勤労奉仕という形で動員させ、軍需工場などでの作業に従事させた、とのこと。
 祖母の口から「挺身隊」という言葉を聞いた記憶はない。ただ、幼かった私に「戦争のときは工場に行って鉄砲の弾を作った」というような話を語ってくれたことを覚えている。どこにいたのか、「広島原爆のときは西の空が赤くなった」と言っていた。
 連載中の「戦後70年―丹波人の証言」には、女性にも当時を振り返ってもらっている。戦争は若い一般女性の人生をも巻き込み、狂わせたことが生々しく伝わって来る。(田畑知也)
 

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