小学1年生のとき、教室内に「えんぴつさん、ありがとう」とラベルが貼られた容器があった。コーヒーの粉が入っていた容器だったと思う。担任の先生が用意したもので、何度も削って短くなり、持ちづらくなった鉛筆を入れるためのものだった。
学習を支えてくれた“えんぴつさん”に感謝し、道具を大切にする心を養うねらいがあったのだろう。学年が上がっても、“小さいえんぴつさん”も一緒に進級。卒業時には、容器は短い鉛筆でいっぱいになった。
先生の素敵な教えの甲斐があったのか、思い出の品々には感謝をし、大切にしまっている物が多い。一方で、捨てずに取っている理由を忘れてしまったものもある。中学生時代の答案用紙がその最たるもの。先日も整理をしていると、高校受験前の数学の実力テストで29点だった答案が出てきた。当時、絶望的な気分になったことを思い出した。
そのテスト結果を見て、受験勉強に火が付いたことを覚えている。高校の推薦入試は終わったが、一般入試まで1カ月。受験生のみなさん、勉強ができる環境に感謝し、あとひと踏ん張り。(田畑知也)