金子みすゞのふる里、山口県長門市で開かれた第8回「みすゞ顕彰俳句大会」に参加。柏原の田ステ女俳句ラリーの選者で、ここでも選者を務めている木割大雄さん、宇多喜代子さんらから、以前より勧められていた。▼大正から昭和初めにかけて、花や動物、星など自然や生命を慈しむ詩を残して26歳で世を去ったみすゞは、今も多くのファンを持つ。彼女の心は俳句にも通じるということから、この句会が始まった。▼2日に渡って行われ、初日は山陽新幹線の厚狭(あさ)駅から乗り換えた美祢(みね)線を、みすゞ実家、現在は記念館のある日本海側の終点、仙崎まで1時間半の車中吟行。2日目の本番は、「駅」が席題に。▼美祢線は普段は1両、この日だけ特別に2両という可愛らしい電車で、細い細い谷底を縫うように行く。山や田など珍しくない丹波人でも、いとおしくなるような風景だ。「運転席ことに万緑なだれ込む」、席題句の「田水張り駅は小さき出城かな」(いずれも特選)は、まさに実感を捉えていた。▼「長門時事新聞」というローカル紙がこのイベントに大きな役割を果たしているそうで、木割氏から紹介された中原吉郎社主は古武士の風格。丹波より条件の悪いはずの本州西北端で、ステ女ラリーよりずっと広範囲の参加者を集めていることに感銘を受けた。(E)