当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市青垣町芦田地区東芦田の「ごりんかん」と「江古花園」です。
「『田舎』を力強く外に発信する」をコンセプトに、自治会長が会長を務める「東芦田地域づくり協議会」がある。ウェブページを持ち、独自のロゴマークまである地域おこしが盛んな集落だ。
始まりは、1990年。当時の40―50歳代が結成した「東芦田村おこしの会」。公民館ではなく、自由に使える遊び場をと、40人が30万円ずつ出資しDIYで建築したのが、現在も貸館、宿泊施設、関西国際大学の活動場所に使われている「ごりんかん」。野菜栽培や豆腐づくり、もちつきなどの体験を提供し、都市農村交流の先駆者となった。
続いて「丹波木炭倶楽部」ができ、出身者が「丹波自然塾」を設立し、さらにモモ、ブドウ、クリの栽培グループが2005年までに相次いでできた。高齢化でほとんどが解散したが、かやぶきの古民家、石垣、ハス園と農村景観を生かした地域おこしグループ「江古花園」(03年設立)は活発だ。芦田八郎管理委員長(67)は、「『ごりんかん』の成功があったし、良い意味で、張り合うような気持ちがあったのかなあ。気の合う仲間どうし誘い合って、どんどんグループができた」と言う。
江古花園管理委員会は、定年退職後に会員になる人がいる。先輩が抜け、後輩が入会する人的循環は、活動の継続、発展に不可欠だ。