この休み、「宙(そら)の名前」(林完次、角川書店)という、月や星の写真集を飽かず眺めていた。▼天の川に大きく翼を広げる白鳥。やや小ぶりの鷲。そして川を隔てた琴。それぞれの星座で最も輝くデネブ、アルタイル(彦星)、ベガ(織り姫)の3星が「夏の大三角」を形成する。▼それらは一番の馴染みだが、もう少し南に下った所に見える射手座の一部が「南斗六星」と呼ばれ、北斗七星と対をなすということを、初めて知った。さほど目立たないが、確かに柄杓(ひしゃく)の形をし、英語では大熊座のBig Dipper(大柄杓)、小熊座のLittle Dipper(小柄杓)に対して、Milk Dipper(赤ちゃん用柄杓)と言うそうだ。▼満天の星々を眺めていると、時間の経つのを忘れる。でも、あの雄大な天の川も、宇宙全体の中では何万、何億とあるらしい銀河の一つに過ぎない。我々は文字通り「葦(よし)の髄から天井のぞく」と知らされると、唖然とするばかりだ。▼「脳とビッグバン」(立花隆、朝日文庫)によると、生まれた時は10のマイナス34乗センチという、素粒子よりはるかに小さかった宇宙が、現在は百億光年を優に超えるまでに広がり、さらに膨らみ続けているという。今さらながら不思議、不思議、摩訶不思議。(E)