NHK―BSでシリーズ放映されていたクイズ形式の番組「総合診療医ドクターG」が終了した。毎回、ベテラン医師が実例に基づいた患者のドラマを段階的に示し、全国から来た研修医4人の回答者が病名を突き止めていく。▼最終回のテーマは「脇腹の痛み」。ふだんは元気で趣味の写真撮影を楽しんでいる70歳の女性が、「身体をねじった時に急に痛む。すぐ治まるが、だんだんひどくなってきた」と訴える。▼日常生活のドラマには「近頃便秘がち」「右目が赤い」などのヒントもちりばめられ、そこで4人が最初の診断。「腸間膜動脈閉塞症」といった難しい名前や、「胆石」などの回答に、ベテラン医師がそれぞれ突っ込んだ質問をぶつける。▼さらに詳しい診察が進み、「幼時に軽い肋膜炎を患った」などの既往症やレントゲン写真から、最終的には全員が「結核性脊椎炎」、つまり「脊椎カリエス」を言い当てた。免疫で封じ込められていた結核菌が、老化と共に体内に散らばり、神経を刺激し始めたのが痛みの原因で、実際の患者も薬で完治したという。▼お笑いが司会、3人のタレントが素人の感想を述べて、診断過程の専門的な内容もよく理解できた。ベテラン医は勿論、研修医も意欲的で優秀そうな人がそろい、「離島の診療所」志望の女性もいて、心強く思えた。(E)