日本イエス・キリスト教団丹波柏原教会90周年の集会へ、会員の母に付き添った。▼同教会は大正期に米国人のソーントン牧師が荷車に聖書を積んで伝道を始め、その後も日本人牧師の手で脈々と受け継がれてきた。生活の糧のために師が導入したピーナツバター製造所は上場企業のソントン食品に発展している。▼食事会で、子供の目に映った戦時中の教会の様子が、当時の鎌野良作牧師の長男で国民学校生だった健一さんから披露された。会堂の入り口に天皇・皇后陛下の御真影が掲げられ、賛美歌の最初のページに「君が代」が載っていたという。▼しかし良作師は御真影の礼拝や君が代斉唱をしなかったせいか、警察に何度も連行された。早朝、深夜に部屋にこもって祈っているのが近所の人の耳に触れ、友だちから「君のお父さんはアメリカと連絡をしている」と、スパイ呼ばわりされたり、殴られたりした。礼拝に来る人も激減したが、父がやむなく勤めに出た乳業工場の社長さんは温かい人で、日曜の礼拝に当てる時間を確保できるよう配慮してくれた。▼多くのキリスト教会がこのような困難を乗り切ってきたのだろう。今また、テロのあったニューヨークでイスラム教会を排斥する動きがあると聞く。どんな時代であれ、信教の自由は守られなければならない。(E)