モウソウチクでヤギ小屋 放置竹林の問題解決に 地元高校と大学連携

2024.12.21
丹波篠山市地域地域注目

完成した1棟目のヤギ小屋でくつろぐ「あめ」と「ゆき」=兵庫県丹波篠山市福住で

兵庫県丹波篠山市の篠山東雲高校アグリサービス類型2年生(8人)と関西大学環境都市工学部の学生が所属する住環境デザイン研究室「ふくたけ」(14人)が、共同で同高のヤギ小屋製作を進めている。放置竹林の問題解決策の一環として、建築材に同市福住産のモウソウチクを使用。すでに1棟は完成しており、2棟目を今年度末までに完成させる計画で、高校生、大学生それぞれの学びを生かした設計で小屋が出来つつある。同高の倉垣拓実さんは、「建築を専門に学んでいる大学生からさまざまな知識や技術を教わりながら作業を進めているので面白い。ヤギがストレスなく過ごせる小屋を完成させたい」と張り切っている。

同高は雌雄の親子ヤギ2頭(母・あめ、子・ゆき)を、飼育実習と“除草要員”として飼っている。

1棟目の小屋は柱や梁には木材を使用し、今年4―9月に製作した。縦、横、高さは共に約2メートル。地面から20―30センチに床面を配置した高床式。

製作中の2棟目もサイズは同じだが、高校生が飼育していて気づいた「高い所に登りたがる」習性を考慮し、床の高さは1棟目よりも40―60センチ高くし、床面に傾斜もつける。さらに1棟目と2棟目を、傾斜がついた短い橋で連結させる計画。

2棟目は竹のみで製作。竹に穴を開けてしまうと、その部分から腐りやすくなるとし、柱と梁の結合個所には、大学生がベニヤ板で自作した三角形の接合部材を介し、金属バンドで結束して組み上げるという。

短冊状に割ったモウソウチクをシュロ縄で編んで床を作る高校生と大学生

このほど、床面を製作する際には、同高近くの竹やぶから切り出した竹を短冊状に割って節を取り、シュロ縄で編んで約2メートル四方の床を作った。

同研究室はこれまでにも、放置竹林問題の解決と景観保全を目的に、竹林整備などで出た間伐材を活用し、福住地区内の数カ所のバス停待合所の改修などを行ってきた。これらの活動を通じて同高ともつながった。

昨秋、同高が老朽化していたヤギ小屋の製作を同研究室に提案。大学生たちは小屋のデザインを描く際、高校生から教わったヤギの習性や行動の特徴などを考慮して設計に盛り込み、図面を仕上げた。今年4月から月1回ほどのペースで同高へ通い、高校生たちと製作に励んでいる。

同研究室代表の桑木奏さん(23)=大学院1回生=は、「大学の授業では、机の上で設計し、模型を作って終了だが、ここでは地域の人や高校生たちとコミュニケーションを図り、そこで出た意見をデザインに反映させたりしてより実践的な学びができている」とほほ笑み、「作ったものが地域の場として愛されることが大事。ヤギ小屋はこの先も定期的に補修が必要になるので、多くの世代が関わることになる。高校生には、卒業後も母校や地域に愛着を抱くシンボルとしての役割も果たしてくれれば」と期待していた。

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