当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は、兵庫県丹波篠山市上板井の弘誓寺(ぐぜいじ)の境内のハス池です。
スイレンが咲く境内の池で、昨年から突如として繁茂を始めたハスの花が見頃を迎えている。今年は昨年よりも一層勢力を拡大させ、約10×5メートルの水面をほぼ埋め尽くしている。永宗敬信住職(50)は、「予期せぬできごとに驚いているが、ハスの花は大変美しく、お寺との組み合わせも良いのでうれしいこと。お寺に足を運んでもらえるきっかけになれば」と話している。
今年は今月中旬から一日に5輪ほどのペースで咲き始めた。花はわずか1日で色あせ、2日目で散り始めるという。
8年前、コイを飼っていた境内の池に永宗住職がスイレンを植えた。毎年、季節が来ると、白、ピンク、黄色の3色の花が水面にぷかりと浮かび、古刹に彩りを添えていた。
5、6年前、田んぼでハスを咲かしていた近所の檀家から、ハスの地下茎「レンコン」を大量に譲り受けた。同寺は毎年、お盆の施餓鬼の際、供物を置く皿としてハスの葉を使っているが、葉は花屋で購入していたこともあり、これを機に栽培することにした。
数年間はひょろっとした葉が数本茂るだけで、花も咲かせなかったため、気に留めることもなかった。しかし、昨年から急に葉が茂りだし、花も20本ほど咲いた。
そして今年、先住のスイレンを端に追いやるほど、その勢力を拡大させた。妻の美香さん(49)は、「開花時にポンッと音がするらしいので、一度聴いてみたい」と目を輝かせ、「葉っぱがとても大きいので、それに見合うよう、立派なお供え物をしなくては」と笑う。
見学自由。午前中が見頃。

























