合併を目前にした氷上郡に、台風23号は大きな爪跡を残した。大雨であふれた水は、3人の方の尊い命を奪い、家屋に、田畑に、生活道に襲いかかった。各地で復旧作業が進められているが、水害による大量のごみの処理をはじめ、直面している課題は多い。 また8月末から続いた台風禍は、今回の水害を免れた農作物にも相当の被害を与えている。「大不作だった昨年と、同程度の実りしかない」という嘆きも聞こえてきた。2年続けて『実りの秋』は訪れなかった。それどころか、かけがえのない命さえ奪った。自然には逆らえないと分かっていても、「なぜこんなことを」と、やりきれない気持ちになる。 4日後に誕生する丹波市は、このような状況下にある。各町ごとに進められている復旧作業が、事務の引き継ぎなどで停滞しないよう万全の態勢を整えてほしい。また、ごみ処理など当面の課題解決にめどがついたら、速やかに復旧の第二段階に取り組んでほしいとも思う。無論、被災した人たちが物心ともに元気になるには、一般住民の力も欠かせない。町境が消える今こそ、「丹波市民」として傷ついた人たちを支えることが求められる。(古西広祐)