充実した人生

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 丹波市氷上町長野で、「老人クラブの会員がブドウ作りに取り組んでいる」という話を聞き取材した。村おこしのために栽培しているのかな、と思って話を聞くとそうでもないようだ。何のためですか、と聞くと「充実した人生を送るため」という答えが返ってきた。 確かに、ブドウの特産地となって都会との交流をはかるという計画も、あるにはあるそうだ。しかしそれはあくまで一つの案。目指すのはむしろ、帰省してきた孫が「おじいちゃんのブドウはおいしい」と言って、喜んで食べるところを見ることだという。 同会は自分たちが培ってきた技術や才能を活かし、ふるさとの魅力を再発見する取り組みを4年前から始めた。ブドウ栽培のほかに、会員の一人が左官の腕を活かして庭園作りも行っている。今までの取り組みや今後の計画について、楽しげに話す会員の方を見て、「充実した人生ってこういうことか」と納得した。 メンバーの経歴は水道業を営む人などさまざま。お互い協力しあったり、刺激しあって今後どんな事業が発案され、実行されるのか、今から楽しみな地域である。(西澤健太郎)

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