年度末の3月に入るあたりから毎年、卒業式関係の取材をする機会が増える。今年もすでに二つの学校をまわり、地域の学童保育の「お別れ会」を取材した。今週半ばには丹波地域の小学校で卒業式が行われる。ちまたの「卒業ムード」は、今がさかりだ。 毎年感じることだが、卒業式などの会場で目にする笑顔はとりわけさわやかだ。幼稚園児も高校生も、年齢を問わずすごく「いい顔」をしている。みんな、かけがえのないひとときを過ごしていることが伝わってきて、うらやましいと感じることもある。 その場にいる卒業生たちには、新しい世界への期待と、そこに挑む力強い冒険心がみなぎっている。そんな気持ちの充実が、表情をひときわ光らせているのだろう。笑顔が素敵な理由を考えた末、そう考えるようになった。 ひるがえって自分自身。これではいけない、と思いつつ、つい前例と経験を頼りにした安易な道を選んでしまう毎日。新しい世界への道を開けなければ、素敵な笑顔にもつながらない「なあなあ」の姿勢だ。卒業の取材現場で感じた冒険心を、自分のものにしなければ。心から思った。(古西広祐)