台風16号が猛威をふるった。自宅近所のモミジが5、6本折れているのを見て、「今回のはすごいな」と驚いたが、次々と大きな被害の情報が入ってきた。氷上町井中の神社では何トンもありそうなイチョウが折れていた。「これ以上ひどいのはないだろう」と思ったが、2時間後には、さらに大きな被害が出た氷上町本郷の神社半壊現場にいた。 本郷では、風で大木が根っこごと引き抜かれていた。根っこが直径3メートル、厚み1メートルほど土をつけて横たわっていて、まるで土壁のようだった。阪神淡路大震災の時に神戸で見た、倒れた電柱と重なった。 道路も倒木が相次いだが、大きな事故は起きなかった。台風が暴れたのが、交通量の少ない深夜だったのが不幸中の幸いだ。しかし、まだ土砂崩れなどの被害が起こらないとも限らないので注意が必要だ。 天気予報で台風の進路を見て、心の準備をしておくのが常だが、ここのところ「肩透かしやったなあ」と、台風が去った後で言い合うことが多かった。今回のように台風の爪あとをまざまざと見せつけられると、「肩透かし」と気楽に言い合える事の幸せを考えずにはいられない。(足立智和)