落合中日の優勝、パリーグプレーオフ第1ステージの熱戦と、波乱続きだったプロ野球が最終盤でようやく盛り上がった感がある。ファンの一人として一安心していたところに、市島町竹田地区の少年野球クラブとシニアソフトボールチームが交流軟式野球を行う、というニュースが飛び込んできた。 シニアソフトチームの主要選手は60歳代。球歴は半世紀を超えている。そんな選手たちと、小学生が試合をする。企画の珍しさが目を引いた。 聞くと、メンバーの少年時代は、石ころを布で巻いたボールを手作りバットで打っていたそうだ。簡素な作りだから、ボールが空中分解することもあった。それを布を重ねただけのグローブで受けていたという。物資のない時代、全国のどこでも見られた野球風景だ。 野手はさぞ手が痛かったと思うが、それ以上に野球に魅せられた。だから60歳を超えた今もソフトボールを楽しみ、小学生たちと試合をしようとも思える。心の若さは、棒きれで布ボールをひっぱたいた野球少年のころのままだ。 大ベテランと試合する平成生まれの野球少年たちは、その姿を見てなにを感じるのだろうか。(古西広祐)