市民オペラの感動

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 おさん茂兵衛オペラ初演を終えた関係者の打ち上げ会場。感動を呼んだオリジナルオペラを創りあげた『立役者たち』の姿がかいま見えた。 指揮の松尾昌美さんの言葉。「台本、作曲の中西覚さんはいつも『難しい』作品をお書きになる。ドラマに極悪人が出てこず、極端に早い遅い曲がない。その中で表現をするのは至難の技。しかし言いかえればあふれる自然さがあり、人間の心温まる思いを描いているので、上演した後気分がいい」。確かに温かいオペラだった。 演出の芦田鉄雄さんのあいさつも何となく納得。「実行委員の女性の中に『これがおさん』という面々がいた。茂兵衛を引っ張る強い女性のヒントを与えられた」。企画運営委員長の浅倉陽子さんをはじめ、女性スタッフのバイタリティやすごかったのだろう。 初めて顔を合わせる「プロ」と「アマ」が一緒に作品を創り上げるというのはどのような過程だったのだろう。素人のスタッフたちはどのように現場に関わっていたのだろう。 初めて観たオペラが「おさん茂兵衛」で良かった。オペラを味わうと同時に、「市民オペラ」の感動が伝わってきた。(徳舛 純)

関連記事