戦友たちの分まで

2007.01.30
未―コラム記者ノート

 今年は戦後60年の節目の年にあたり、本紙でも企画特集を組んでいる。投書欄「自由の声」に体験談を寄せて頂いたのがきっかけで、元特攻隊員の中島弘さん(篠山市東新町在住)に詳しく話を聞く機会に恵まれた。 特攻隊についてごく表面的な知識しかなかった私にとって、中島さんの話は目からうろこが落ちる思いだった。 「飛行機乗り」への憧れから16歳で少年飛行兵をめざした中島さん。念願叶い戦闘機操縦に選ばれた先は、特攻隊員への道だった。しかし、中島さんの話を聞きながら悲壮感よりもむしろ自負心のようなものを感じたのは、「死ぬのが親孝行」という教育を受けた若者たちが、信念を抱いて突き進んだ道だったからだろうか。 寄り添って生きてこられた奥さんが、ふと口にした言葉が印象に残った。「亡くなった戦友たちの分まで、きちんと生きなければという気持ちがずっとあるようですよ」。戦後の復興を築かれた先輩たちの多くは、このような思いを胸に抱いて頑張ってこられたのかもしれないと思った。今日の平和と繁栄のもとにあるものを忘れずにいたい。(徳舛 純)

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