戦没者追悼式

2007.01.31
未―コラム記者ノート

 青垣町で行なわれた戦没者追悼式で、往時をしのぶ戦争体験の手記と朗読と平和を訴えるコーラスがあり、心を打たれた。「平和な世界の実現」という、あたり前の事を強く意識した。 手記は、終戦から50年の節目の平成6年に、青垣町平和を守る会が作成した冊子から抜粋したもの。悲話としかいいようのない物語が、つづられている。式典で紹介されたのは2人。わずか5年あまりの間に父、母、兄と3人を亡くした女性は「悲しい青春だった」とつづり、出征後に生まれた我が子に会うことを夢見、子どもの写真を胸に戦死した友人のことが「忘れられない」と男性はしたためた。ペンを走らせる内にこみあげてきた。 コーラスで歌われた「青い空は」は、初めて耳にしたが、「あの夜星は黙って連れ去って行った父の母の兄弟たちの命の重みを」というくだりで、涙がこぼれた。歌ったコーラスグループのメンバーからも、「涙を抑えるのに必死だった」と後で聞いた。 歌が終わった瞬間、拍手が起こった。追悼式で鳴らされた拍手、沸きあがるような大きな拍手ではなかったけれど、遺族の思いが心に染み、また胸が熱くなった。(足立智和)

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