氷上町の東田寿和さんがCDを全国発売する。5年前に取材させてもらったのをきっかけに、仕事を離れたところでも色々ご教授頂いている。 東田さんはがんを患っている。最近はリンパ腺がはれてきているという。それでも、最初の入院でがん医療に疑念を抱いたため、治療しようとはしない。薬を「飲んだふり」をして捨てている内に体調が良くなり、「薬が効いたこと」にして退院したというから、疑念の深さははかりしれない。 「がんで亡くなった人も、がんでも生きてる人もぎょうさん見てきた。治療しても早く死ぬ人はいる。放っといても長生きする人もいる。結局、早く死ぬ人と、遅く死ぬ人がいるとしか言いようがない。最後は運ですわ」と、放っておいての長生きに賭けている。 CDを出すにあたって、仲間と交わした契約は「生きて歌い続けること」。「死んでしもたら、ただの気の毒なおっさんのCDになる」と笑う。 「余命半年」の宣告から5年。「具合が悪くなる度に『もうすぐ死ぬ』言うて、だんだん狼少年みたいになってきた」というが、すでに49歳の「狼おじさん」。「狼じいさん」になっても「生きて歌い続け」ましょう。(足立智和)