花オクラの心遣い

2007.01.31
未―コラム記者ノート

 この夏、初めて見せてもらった花がある。ふわぁとした淡い黄色の花びらが太陽に透ける大きな花。氷上町のお宅で栽培されたものだ。 取材にうかがうと、畑の一畝に花オクラがずらっと植えられていた。私もおすそ分けを頂き、湯通ししてポン酢で食べると、粘り気があってふわふわした食感だった。 この方と出会った場所は、柏原町内のギャラリー。画材販売をしている人で、仕事で立ち寄っていたのだった。アトリエや美術館にも配ったそうで、「画家さんにあげると、珍しいし色がきれいなので喜ばれるんです」と言っていた。 花オクラだけではなかった。土のついたままの里芋なども、絵の題材になるのであげるのだという。単に画材の注文を聞いたり売り込みに行ったりするだけでなく、心がこもった付き合いをしておられるなと感心した。画家さんたちだって、こんなうれしい気遣いをしてくれる画材屋さんなら、心を開くに違いない。 モノを売りに来られると身構えてしまいがちだが、誰しもおすそ分けを持ってきてもらうと嫌な気はしない。仕事を離れてしている事かもしれないが、なるほどと勉強させてもらった。(徳舛 純)

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