決して読書家ではないが、本が好きだ。書庫が手狭になったため、閉架図書2万冊を放出した氷上町図書館の勝川浩幸館長が「本を捨てることは、身を切られるような思い」と言っておられたが、全く同感だ。買った本は捨てられない。もったいない。6年前に引越して持ち帰った本を放ったらかしにしていたが、「いい加減にしろ」ときつく言われ、先週末になくなく片付けた。 日に焼けて茶色に変色した本を手にとりながら「いつか無性に読みたくなって、その時に手元になかったらどうしよう」という不安におののきながら、梱包した。 整理していて、読書傾向に気が付いた。小説にはほとんど興味を示していない。事件などのドキュメンタリーや、人物伝が多い。また、旅行記や文化人類学など、「海の向こうの遠い国」にも強くひかれている。あとはエッセー。結局、作り話や希望的観測より、何より「事実」が好きなのだ。 事実好きというのは、この仕事に必要な性質の一つだと思うが、現実が勝ち過ぎ、読者のみなさんに夢を与える記事が書けない「課題」を抱えている。幻想小説でも読んで、脳を柔らかくしようと思う。(足立智和)