今年は夜が冷えたのと雨が降らなかったのとで、桜が丸々1週間楽しめた。土曜日の夜、篠山市杤梨(とちなし)の住民が桜をライトアップしているというので取材に訪れた。 田んぼを通る真っ暗な道を進んで行くと、行く手にぼうっと一本の桜のシルエットが。星と月のきれいな晩で、思わず「あっ!」と叫びそうになるほど美しかった。 場所は県道173号と平行して走っている県道井ノ上杤梨線。桜は集落のもので、公民館から電源を取り、近くに住む住民らがライトアップしていた。「あんまり立派やからみんなに見てもらったら」という提案がきっかけで、急きょ水銀灯を置いたそうだ。 桜は国道からも見えるため、この日も川西市からドライブしてきたという若い人たちが迂回して立ち寄り、「有名な桜なんですか?」と地元の人に尋ねていた。アイデアを出した女性の「桜を誇りに思う」という言葉に心が温まった。こんなにみんなに綺麗だと言ってもらえて、桜も喜んでいることだろう。 篠山の夜桜では般若寺が有名だが、「杤梨の桜」も来年あたりブレイクするのではないかと期待している。(徳舛 純)