先日、春日町と青垣町の「さつき展」を取材した。見る前は受賞者リストに「作品」と書かれているのがちょっと意外な気がしたのだが、会場に並ぶ鉢を目にしたとたん、すぐに『正に芸術』と感心してしまった。 春日町はさつきが「町花」。「春日町盆栽会」のメンバーが100点近くを出品しており、さつき展も28回の伝統を誇る。特賞は「白青山」(はくせいざん)という品種の鉢で、青リンゴを思わせるような緑がかった白い花を、枝が見えないほどに付けていた。他の鉢も赤、ピンク、紫、白い花に赤いラインが入ったものなど、一つひとつ表情が違った。 青垣町は春日よりやや規模は小さかったが、こちらも25回目の歴史を持つ。「青垣町さつき同好会」会長の足立茂男さんに「さつきの魅力」を尋ねると、「手をかけた分だけ応えてくれます」との返事。鉢は数十年がかりのものはざらで、代々受け継いでいる『百年モノ』まであるというからすごい。 ただ、会員は両方とも高齢化が進み、若い新会員が入らない、とメンバーが少し悲しそうに話しておられた。菊花展もそうなのだが、美しい鉢が並んでいるのを見るたびに、大切な文化だと感じる半面、自分たちの世代にこんな根気のいることが果たしてできるようになるのだろうかと、少し心配している。(徳舛 純)