自転車で全国を訪ねて回った山南町の清水照久君を取材した。名刺を差し出され、「ペンを貸してもらえますか?」と第一声。何をするのかなと思ったら、「2003年10月16日出逢いに感謝の日」と書き込んだ。19歳とは思えない仕草に、旅の出会いのすばらしさが見えた。 7カ月にも及ぶ旅の間、飲み物には1円もお金を使わず、食事をごちそうになることも多かったそう。本人は恐縮していたが、初対面の人から「餞別」をもらったことも何度かあったという。清水君の人懐こい笑顔と明るい挨拶、気配りをする態度が相手の好意を引き出したのだろうと感じた。 少年が一人で自転車で全国を旅していると聞けば、ぜひ応援したくなる気持ちはよく分かる。自分の地図を広げて歩き出そうとしている清水君。旅先で「10年後にまた会いたい」とたびたび言われたそうだが、『若さ』にエネルギーを感じ、成長を期待したのだろう。 「環境に恵まれている」という人もいたそうだが、「やろうと思えばみんなできる」ときっぱり。「やればできる」という気持ちを忘れてはいけないなと思った出会いだった。(徳舛 純)