篠山市の水道水への有害物質混入事故は一応の収まりを見せ、市民生活は平常に戻りつつあるようだ。今回の事故の第一義的な責任は、フェノール流出事故を起こした企業にある。今年2月には、停電による大量のガス漏れ騒ぎを起こしており、それに続く今回の事故。ISO9000シリーズの取得を目指していたというが、安全管理に対し一体何をしてきたのか、疑問を持たざるを得ない。 一方、速やかな情報提供ができず、住民の不安を増大させた行政側の責任も大きい。市は、事故発生時に「事態は収束する」と判断を誤ったが、そのせいで正確を期そうと水質検査の結果が出るまで情報提供を待ったのかもしれない。しかし、ある小学校では安全確認ができるまで水道水の一切の使用を禁止、家から持参したお茶を飲むことも止めるよう児童たちを指導した。 学校だからここまで徹底できたのかもしれないが、人の健康や安全にかかわる問題では、疑わしきは罰せずでは手遅れになることもある。疑いが晴れるまで危険だと認識を持つべきだ。 今回はたまたま異臭がして、多くの住民が自主的に使用を控えることができた。だが仮に、無色無臭の有害物質が漏れ出たとして適切な対応が取れるだろうか。しっかり検証をし、安全に対する体制を整えてもらいたい。(坂本守啓)