騎手の世界

2007.03.12
未―コラム記者ノート

 「騎手になりたい」。小学校以来の夢を先日かなえた、丹波市市島町出身の荻野啄真さん。彼の印象は「しっかりした18歳だな」だった。 こちらは競馬のことに関してはまったくの素人。逐一説明してもらいながらの取材となったが、答えてくれる内容は丁寧で、終始はきはきした口調で話してくれた。 その理由は何だろうと不思議だったが、競馬学校の話になると納得した。 同校は全寮制で、食事は管理されているが、毎日検量がある。学校が生徒の成長に応じて指定した体重を維持できないと、退学処分もありうるという。厳しい自己管理が求められる世界で、己を律するということが精神的な成長につながったのだろうと思った。 お母さんにも話を聞いたが、そんな生活の結果、現在の彼の体脂肪率はなんと約5%だという。そこまで体を絞るのに費やした時間や生活のことを考えると驚くばかりだが、取材中「辛い」という言葉を一度も口にせず、夢をかなえた喜びにあふれた声を聞かせてくれた。 目標は新人戦優勝。「自律」を忘れたお腹をさすりながら、応援しています。(西澤健太郎)

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