2つの提案

2007.03.21
未―コラム記者ノート

 先日、ある病院の時間外救急外来に患者の付き添いで行った人が、ひどく怒っているのを聞いた。「あんなにひどいとは思わなかった」「ろくな医者がいない」と言うので、「ろくな医者がいないなんてことはない。今いる医師は、この地域の医療を守る使命感がある人、特別義理堅い人たちでしょう」と反論した。 今、医師の世界は、超売り手市場だ。公立、公的病院で常勤医として働くより、非常勤医でいくつかの病院を掛け持ちした方が、身入りは増える。しんどい当直からも外れられ、自分の時間も持てる。 昨年の3月から1年間、病院の医師不足問題を追って来た。報道するたびに「私たちは、どうしたらいいの」と言われる。2つ提案したい。 一つは、近隣市も含め、どこにどんな医者がいるかを知ること。病院の体力低下を認め、以前は丹波地域で完結できていたことが、できなくなっている事実を受け入れること。二つ目は、がんばっている医師の気持ちを絶たないこと。診察の後は不平でなく感謝の言葉をかけよう。ひと言「先生、ありがとう」と。そういう地域にならないと、勤務医は定着せず、今いる医師にも愛想を尽かされる。(足立智和)

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