「カブトムシ用のマンションを作ったんですよ」。そう聞いて早速取材したのが、篠山市今田町今田新田の「ぬくもりの郷」内にある8角形の小屋。中に幼虫を「入居」させ、夏に成虫を観察できるようにする。ちなみに、正式な名前はまだ決まっておらず、便宜上そう呼んでいる。 同施設は農業公園として、来館者の自然とのふれあいにも力を注いでいる。周辺には雑木林が多く、カブトムシは夏場になるとよく見かけるそうで、「これを活かせないか」と始まったのがマンションの建設だった。夏休みには、子どもたちが入居者の姿に目を輝かせるだろう。 「最近の子どもは虫が好きでも、触れる機会が少ない」と言われている。「昔は田んぼ脇の肥料の山を掘ったら、たくさん出てきた」と支配人も言われていたが、今は子ども自身がそういうことを知らないためか、珍しい光景になった。しかし、虫の習性を知り、自力で捕まえた時の気持ちは何にも優るものがある。 マンションの企画は自然と触れ合う第一歩。実物を見て感動したあとは、自分で捕まえたい、と思わせる。そんな取り組みを期待している。(西澤健太郎)