再建という同床異夢

2007.09.10
未―コラム記者ノート

 柏原赤十字病院の労働組合らで作る「丹波地域の医療を守る会」が開いた「丹波地域の医療確保フォーラム=柏原赤十字病院の再構築を願って=」に参加した。同病院応援団の柏原の住民3人を含む5人が登壇したパネルディスカッションを聞き、パネリストが望んでいるものと、柏原赤十字病院が目指そうとしている方向が、今ひとつかみあっていない印象を受けた。 玉田文彦院長は、内視鏡による胃がんの早期発見や、各種健診、生活習慣病の早期発見、治療などに力を入れたい、と再建プランを語られたが、パネリストは、小児科、産科、救急がある「以前と同じ」病院をより強く望んだ。 柏原赤十字は、県立柏原と違う道で生き残りをはかろうとしている。小児科、産科は長く柏原赤十字の看板診療科だったが、内視鏡センターに改装され、分娩室は、もうない。 再建という同床異夢をみている。柏原赤十字のめざす方向を住民が支持するのか、しないのか。過去の姿を追い続けるのか、新しい姿を認めるのか。病院が市民の願いに歩み寄るのか、市民が病院に歩み寄るのか。再建の一歩は、両者の思いを一致させることからだろう。  (足立智和)

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