記者元年の誓い

2008.01.10
未―コラム記者ノート

 私がフリーターだったころ、知り合いに「記者になりたい」と話すと、彼はこう言った。「活字離れが進む中で、記者になっても仕方がない」と。はたして本当にそうだろうか。 全国紙をはじめ、地方紙も購読者数が伸び悩んでいるのは事実だ。だが、一方で小説などの文学界では、新しい文学賞が創設されるなど隆盛を見せている。活字ではないが、「電車男」に代表されるパソコンや携帯を使った「ネット文学」の台頭も顕著だ。 「活字離れ」ではなく「新聞離れ」の間違いではないか。記者の自己満足的な記事が、読者に「おもしろくない」と判断されている今の新聞を素直に認めたい。 以前、取材した方から手紙を頂いた。「これからも温かい記事を期待します。そして記事を書いている時に私たちの顔を思い出してください」と書かれていた。新聞社が生き残っていくヒントがこの手紙にあると思う。「読者第一」。もっとも基本的なことに立ち返ることだ。 昨年、記者研修生になり、このほど正式採用となった。2008年から、本格的な「新聞記者」としての生活が始まった。記者元年に当たり、この手紙を忘れずにいきたいと思う。(森田靖久)

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